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Column

講談社絵本新人賞で落選した私が、創作活動を諦めた話。

私は絵本作家になろうと、新人賞に応募したことがある。結果は、今絵本作家をしていないことから察してほしいのだが、それにより得たものもあった。私は0から1を生み出せない。そんな私の「自分の居場所」を探すための旅の話。

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講談社の絵本新人賞に応募するもかすりもせずに落選

創作活動をしたい欲に波のある私は、しばらくは映像制作の仕事で創作意欲を満たしていた。
しかし、出産で育休に入ったことがきっかけで、ふと「私、絵本作家になりたい」と思った。
無鉄砲なことで有名な私は、思い立ったら即行動!と思ったのだが、絵本を作る上で一番重要な部分に欠点を持っていた。
私は、物語の創作ができない。
どこかで聞いたことあるような陳腐な話なら思いつくが、そんなものは求められていないだろうことは想像がつく。
そこで、ストーリーが書ける友人に話の創作を依頼し、私が絵を描くという分担で2019年の絵本新人賞に応募した。

一次審査の結果発表を心待ちにするも、結果は見事に落選。
今見ればキャラクターの作り込みや絵の構図などが甘く、落選は仕方ない結果なのだが、一次も通らないのか…と落胆した。
完全に甘くみていたのだ。一次なら、と。そんなに甘くない世界、それが絵本作家だと思い知った。

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キャラクターを生み出そうとするも挫折

絵本を作るにはストーリーを書いてもらわないと作り出せないことは、新人賞でわかった。
自分一人でできることを考えた時に「私、キャラクターを生み出したい」と考えるようになった。
そして、そのシンプルさに憧れていたディック・ブルーナの特集や本を読み漁った。
いざ、創作に取り掛かろうとするも、全く捗らない。
なんなら、何をモチーフにキャラクターを作るかすら思いつかない。
何一つ思いつかないのだ。

そしてようやくここで気がついた。私は0から1を生み出せるタイプの人間ではない、ということを。
ストーリーの創作はからきしできないし、美大出身という経歴から謎の自信を持っていたキャラクターの創作も、なに一つ満足にできなかった。
薄々気づいていた0から1を生み出せない、という事実を実感せざるを得ない経験となった。
もっと早く気づいていそうなものだが、思い返せば美大でも仕事でも必ず明確なお題やこうしてほしいなどの要望があり、それに沿って創作するため、0から1を生み出しているようで、実は10くらい情報がある状態で創作していた。
それに気づかず、自分はなんでも生み出せる存在だと勘違いしていたのだ。

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自分が活躍できる場を求めて

ここまでの創作活動でわかったのは、ある程度ベースがある上でそのベースや要望を取り入れながら創意工夫をする方が得意だということ。
そうなってくると、形あるものを作る創作作業にこだわらなくてもいい気がしてきた。
そんなことを考えている時に出会ったのがライターという仕事だった。
要望を伺いながら、求められている情報をベースに良い文章を生み出す作業は、私にとって楽しみながらできる創作作業となった。
こういう一見自由に見える文章も、「自己紹介」や「ライター」、「アート」というざっくりとした共通テーマと自分の経験というベースがあるため、ある程度書きたいことが決まれば困ることはない。
0から1を生み出すタイプではないと気付けたから新しい道を見つけられた。
「私にはできない」と認めることは挫折ではあるが、それを認めた先に新しい世界が待っていると気付けた大切な経験となった。

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