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Artist Notes

〈インタビュー〉線に命を吹き込むアーティストRyuichiさん – 線の魔法使いと「線」の不思議な関係

幾重にも枝分かれする模様のような線で形作られた絵画。その背景をよく見てみるとさらに細かなぐちゃぐちゃの線が見えてくる。この「ぐちゃぐちゃに描かれた線」こそが、Ryuichiさんの作品づくりの原点。日々、線と対峙する彼の「線との関係」とこれからの展望。

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偶然、目の前に現れた一頭のクジラ

–特別支援学校の臨時職員として働いていると伺っていますが、どのようなきっかけで絵を描き始めたのですか?

25、6歳の頃、その当時担当していた生徒がカレンダーとチラシの裏に線をいっぱい書いていて、その中の1枚がクジラに見えたんです。試しに自分でも描いてみたらできたというのがきっかけです。

–生徒さんが書かれた線がきっかけだったんですね!なんだかすてきな出会いです。元々想像力が豊かな部分があったのでしょうか?

子供のころから空想が好きでファンタジーな世界や生物にすごく憧れていました。両親がジブリやディズニー、SFの映画を沢山観せてくれていたので、ビデオとDVDが大好きでした。

–たくさんの映像作品に小さい頃から触れられる環境が想像力を培っていったんですね。

今でも頭の中でたくさん物語を作ってその世界に入ってセリフを言ったりしてます。

–作品を拝見すると、絵を描きはじめたきっかけでも話されていたように無数の線が描かれていますね。作品を作る際、最初に描く線が重要になってくると思いますが、線を描く時に何か考えていたりするのでしょうか?

何にも考えてないです。なので最初は何を書くかは全く決めていません。目を瞑って“無”になった瞬間から線を書き始めます。

本当に偶然できた線から作品を生み出しているんですね。作品制作に取り掛かる際に心がけていることやルーティーン的なものはありますか?

ルーティンなのかは分かりませんが、線と“対話”しています。線を書き終わった後、線と向き合ってどうなりたいかと尋ねてます。

–線に尋ねる!まさに「線に命を吹き込むアーティスト」ですね。個人的に、仮面ライダーアマゾンが好きなので、118枚目の作品、仮面ライダーアマゾンズの「アマゾンアルファ」が気になっています。この作品にはどのような想いが込められていますか?

元々アマゾンアルファは12月に描く予定だったのですがバタバタしてて1月に延びたんです。さあ描こうと思った時に、アマゾンアルファを演じた谷口賢志さんがご結婚されたと報道が出たんです。「このタイミングで!?」とびっくりしました。もしかしたら線はこうなることを知ってたかも知れませんね。

–それはすごい偶然ですね!線に導かれた結果と思うと、先ほど仰られていた「線との対話」のすごさを感じるエピソードです。

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作家として伝えていきたいこと

–2024年1月には2度目となる海外のアート雑誌への掲載を果たされたそうですが、その時の気持ちを教えてください。

まさか自分が雑誌に掲載されるとは思わなかったです。一度目の時には雑誌が手元に届いた時、“自分が載ってる!”と思わず家の中で言ってました。

–掲載されていることを知っていても、実際見てみると感慨深いものがありますよね。

不思議な感覚でしたね。ドキドキしました。

–先ほどの雑誌掲載のほかにも、ラジオへの出演なども果たされているんですね。

はい。宮崎サンシャインFMで放送されているラジオ番組「Sundayシアターあんてな放送局」にゲストとして出演しました。

−メディアへの露出も積極的にされている印象がありますが、メディアを通じてどんなことを伝えていきたいですか?

メディアの方はまだ露出は少ないのですが、周りの出会いやつながりのおかげでアート活動を続けられたことを伝えたいです。

–出会いやつながり、大切ですよね。

元々は人見知りでネガティブな性格なのですが、そんな自分でも周りのおかげで変わることができたこと、出会えば必ず仲間がいることを伝えたいです。メディアとは関係ないのですが、小中学生の時の自分にも今やっていることを伝えたいです。

–小中学生の時の自分に伝えたい、すごくわかります!ちなみになのですが、子供時代の夢ってなんでしたか?

実は子供の頃なりたかった夢はなかったんです。

−そうだったんですね!

周りが将来の夢を話している中、自分は何も浮かばなくて悩んでいました。今思えば小中学生時代はあまりいい思い出がなかったので、そこまで考える余裕がなかったかもしれませんね。だからこそ、大人になって芸術家になる夢を持った時は嬉しかったです。

−それを踏まえると、「小中学生の時の自分にも今やっていることを伝えたい」という言葉の重みがさらに増しますね。

やっと本当にやりたかったことを見つけた!と洞窟から抜け出せたような感覚でした。茨の道ではありますけど。

「線のアート」のこれから

–実はずっと「ね〜しゃん」のことが気になっています。「ね〜しゃん」はどのようなキャラクターですか?

ね~しゃんはぐちゃぐちゃの線から生まれたキャラクターでカーネーションの妖精です。ビビりな性格ですが珍しいものには目をキラキラさせています。いつもは肩にいます。

–肩にいるんですね!!かわいい!!

最近は自分がね~しゃんに似てきたと言われることが多くなりました。(笑) ね~しゃんは自分にとって相棒であり分身でありティンカーベルみたいな存在です。

–想像力豊かなRyuichiさんならではのキャラクターでほっこりしました。コンスタントに作品を発表し、さまざまな賞も受賞されていますが、今後の目標を教えてください。

線のアートを絵だけの概念に留まらず色んなジャンルでコラボしていきたいです。昨年初めて衣装デザインとデザインマスクをしたのですがすごく面白くて、もしかしたら絵以外でもコラボできそうと思いました。

–Ryuichiさんの作品、衣装とめちゃくちゃ相性良さそうです!

あと特撮が好きなので少しでも線のアートで関われたらいいなぁと密かに思ってます。そして今後も国内外問わずね~しゃんと共に線の魔法使いとして披露していきたいです。


名前:Ryuichi
出身地:京都生まれの宮崎育ち
活動地:宮崎県
作品ジャンル:ミクストメディア
SNS:Instagram
公式サイト:https://ryuartworks.com/
使用画材:アクリル絵の具、木工用ボンド、ジェッソ、ボールペン、ガラス絵の具、マイカパウダー、墨汁、カラー筆ペン、コピック

経歴
地元の短期大学卒業後、特別支援学校の臨時職員に入職
6年前に担当していた生徒が書いたぐちゃぐちゃの線が鯨に見えたのがきっかけで線に命を吹き込むアートをはじめる

2018年6月
第8回みやにち夢広がる小品展 努力賞
2019年6月
第9回みやにち夢広がる小品展 優秀賞
2021年11月
第1回HUAHUAフェスタ 最優秀賞
2022年11月
第94回新構造展 奨励賞
2023年2月
第28回日本の美術 全国選抜作家展に展示
2023年5月
第64回新象展 スポンサー賞

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